夢の風景 (8)

血まみれだ。
目の前で痙攣している彼らは不思議な形をしている。
夜の公園に行くと、今日も植え込みの影で変な動きをしているカップルを見つけた。近づいても全然気が付かないので、持っていた金属バットで、二人を繰り返し繰り返し殴りつけた。いつまでもバットが折れなければ彼らが平らになるまで殴っただろうと思うけれど、そんな都合のいい話があるわけはなく、バットはすぐに折れてしまった。
半裸で身体のあちこちが陥没した男の手は痙攣しながら、何故か僕に受け取れと言わんばかりに名刺を差し出している。そういう記号は今さらどうでもいいのに。僕は靴底で手首ごとそれを踏み潰した。
女の方は頭が西瓜かザクロのように砕けてしまったのでもう硬直が始まっている。顎から上が無いので噴水のように血が吹き上がっていたが、次第に勢いは弱まった。
今夜はとても静かだ。僕はこれから新しいバットを買いに行く。