夢の風景 (1)

「今年は忙しかったけど、来年の夏には絶対一緒に海に行こうよ」 と言った。
でも、次の夏まで本当に一緒にいられるのかどうかは誰にもわからない。
いくら仲が良くても、僕は寝ぼけて線路に落ちて電車に轢かれてしまうかもしれない。
どうでもいいことを考えながら家に帰った。
暗い部屋で、近くの街灯から漏れる薄明かりで、僕は君を見つけた。
部屋にはまだ、君の温度が残っていた気がした。
僕は不思議と落ち着いていた。
残念だけれど、少し君が羨ましかった。
まだ春ですらないけれど、明日は休みを取って君と港に行こうと思う。
明日からは僕らが望めばそこが夏の海になる。